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私がこの本を購入したのは、解説文が気になったからでした。
北上次郎氏はこう解説しています。
「幼児虐待も出てこないし、派手な殺人事件も起こらない。ところがこれが実に読ませて飽きさせない」

私は不思議でした。
派手な事件も起こらないのに、これだけの厚さの本が書けるってどういうこと?
くわえて、読者が引き込まれるってことは、相当の理由が何かあるはず――それって何?
そんなふうに、非常に気になりました。
そして、もしかしたら書くヒントになってくれるかもしれないと考え、読むことにしたのです。

たしかに、ストーリーや登場人物には派手さがありませんでした。
ですが、気になるのです。落語を通じて集まった、クセのある人たちが、それぞれの心に抱く悩みを、どのように処理していくのかが。

読み終えて、私は思いました。ほんとうに素朴な作品なのですが、この長い小説には無駄な文章がないのです。

つまり、このくらいの長さを書かなければ、読み手には伝わらないということではないでしょうか。
人物表現、感情表現、情景描写、ひとりひとりのエピソードなど、詳細をきちんと書ききれば、おのずと長編小説になるのでしょうね。

今の私には、このような作品は書けないな、と落ちこんでしまいました。


しゃべれどもしゃべれどもしゃべれどもしゃべれども
佐藤 多佳子

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